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神戸出身の砂十島NANI(Dr.& Vo.)、カコイヨシハル(Gt)、淡路島出身のヨシカワショウゴ(B)からなる“どアナーキー”で“どNOW&WAVE”な三人組バンド。2000年12月31日、真っ昼間からのカウントダウンライヴがZUINOSIN結成の始まり。通行人や警察を巻き込んだウンコ放り投ゲリラを決行。これが彼らにとっての初ライヴとなる。当初メンバーは5人編成だったが、初ライヴで早速メンバー3人が脱退。翌年、神戸発伝説のスカムイベント『畜生』に出演し、オーガナイザーであるヨシカワショウゴと出会い、ヨシカワはそのままZUINOSIN加入へ。サンプラー、ドラム缶、自転車のタイヤ等の楽器編成があまりに難しいということに途中で気付き、2002年末にようやく現在の楽器編成となり、関西を中心にライヴ活動を展開。ZUINOSINにとって多大なる影響を及ぼすこととなるOve-NaXx、KA4U、ガルペプシ等との共演もこの時期。
そして2004年夏に発売された『HARD MARCHEN in OSAKA』(NAZNA OIRAN Inc)にZUINOSINとして1曲参加。同年秋、スピードメーター/イルリメによる結託ユニット『SPDILL』のアルバム『HOW TO FEEL THE EMPTYHOURS ?』(de-fragment)にZUINOSINとして1曲参加。日本各地に彼ら独自のアナーキー理論が浸透、今日に至ってはアクの強いミュージシャンが集う関西の中でも演奏スキル/エンターテイメント性/インパクトなど多角総合的な面において、ズバズバズバっとぶち抜けてヤヴァい存在だ。つい先日メジャー・デビューを果たした同期のあふりらんぽに続いて話題沸騰中! 近年ではUA、高橋悠治、銀杏BOYZ、遠藤賢司、バックドロップボム、RIZE、サケロックらとの共演を果たし、彼らに負けず劣らずのパフォーマンスを見せ、好評を博している。
そして、「組織だけでは個性を埋没させる」と言わんばかりの各メンバー好き勝手多彩な個人活動にも注目したい。砂十島NANIはDJ???(ドラムジョッキーナニナニナニ)に扮してドラム教則シリーズ『HYSTRICDRUM』を全力で猛烈なスピードをもって今日までに計5本をリリース。そのビデオに共感したDMBQの増子真二からの誘いにより、ハイドロ・グル参加へ。そのほか、山中憲治(ムンズ)とのニ人組POP SIDEユニット『CxAxP』、UrtlaBideの米国ツアーにサポートメンバーとして参加したのをきっかけにHIDE(ウルトラビデ)、TABATA(レニングラード・ブルース・マシーン)とAMAZON SALIVAを結成。また内橋和久、吉田達也、勝井裕二、小森慶子、オオルタイチ、半野田拓、ガルペプシ、坂本弘道、YOSHITAKE EXPE、一楽儀光、天鼓、千野秀一、アルフレッドハルト、田中悠美子、川端稔といったミュージシャンらとセッションを行うなどやりたい放題に幅広い活動を見せる。
カコイヨシハルはソロ活動に加え、セッションでは吉田達也などと共演。並行してKURANT、スピードイルといったバンド活動やレーベル『cnss.cc』主宰など、こちらも好き勝手に幅広く活動を展開。
さらに好き勝手なヨシカワショウゴはフランスのART集団『LEDERNIER CRI』のPAKITO BOLINO,NUVISH、オランダのART集団『ANTISTROT』など海外、日本のイラストレーターをブッキングした無国籍世界無政府爆走絵画雑誌『hePALiNiLLiLLmAstEr』を発行。ほか、ステッカー・レーベル『hePALiN』、アニメーション、VJなど、はっきし言ってバンド活動ほったらかしな程、精力的な活動を見せる。
そんな過!激注目バンド、ZUINOSINはまさに生まれるべくして生まれた現世の副産物であり、怪物である。その発端は阪神大震災、地下鉄サリン事件などが起きた1995年に遡る。安全神話の崩壊、高度成長の最終形態であったバブル景気破綻から始まった平成不況の到来、学級崩壊の日常化、国家の舵取りを責任をもって果たすべきエリート官僚たちの汚職事件。旧式のシステムの歯車が次々と軋み始め、我々の生活がいかに不安定な基盤の上にあるかが明確になった年である。パラダイムが大きく崩壊し、なおかつそれが全体において同時多発的に発生した95年を彼らは中学生という最も多感な少年期として迎えている。彼ら自身、そのパラダイムの崩壊を最も自覚する出来事が地元で起きた阪神大震災や97年に起きた酒鬼薔薇事件であろう。我々が多少の疑いを持ちながらも保持してきたパラダイムを軽やかに越えてしまったそれらの出来事は、彼らにとってアニメの世界でしか有り得なかった大友克洋作『AKIRA』であり、望月峯太郎作『ドラゴンヘッド』の世界だったに違いない。そんな光景を当時目のあたりにした彼らを含む現在20代前半世代の心に宿ったモノ、それは生き残ったことへの安堵感などとは到底言えない極度の虚無感と未来への不安ではないだろうか。社会構造の軋み、理性や道徳と言った価値観が崩壊していく過程をまざまざと見せつけられてしまった彼らが現世に敏感に反応しつつ、その狭間の中でタフに生き抜いていく為に産み出したモノ、それが彼ら独自の「アナーキズム」であると言えるのではないだろうか。現在、活発な動きを見せる同期のあふりらんぽやオシリペンペンズらを見ても同様の姿勢を見ることができる。そのアナーキズムとはDJ ???扮する砂十島NANIがドラム教則ビデオでしきりに提唱する「世の中のようにしたらアナーキーになる」というセリフから来る。このセリフがそのままバンドとして転化され、出来上がった怪物こそがZUINOSINなのである。
20代前半とはとてもじゃないけど思えない繊細かつハイレベルな演奏、ゴリ押しビートに過激に振幅する変拍子、尋常じゃないエフェクター数にアシュラマンを彷彿とさせる手数足数多いドラミング、不可能な音、bpmを「バンド」という生身な形でストレートに忠実に再現しようとする試み、身体の動きに無理が生じてマスカオティックなお母さんゴメンネ状態、そして独自のエキセントリックな言語を加えた観る者すべてを戦意喪失に陥れるキテレツ・ライヴ・パフォーマンス。それらすべてが70年代後半から続くポストモダンな社会構造、パラダイムの歪みをそのまま体現しているかのように映る。パラダイムの歪みを増幅するために現れた怪物=ZUINOSINのデビュー作は「パラダイム崩壊後世代のアナーキズムとは何か?」、そして「音楽のアナーキズムとは何か?」という無数にある答えのうちの一個、または千個くらいを隙間なく収録し、チョーカオティックでハチャメチャな現世とリンクしていることをはっきりと証明してみせた作品である。本作を手にしたあなたは自分自身の内側にある「怪物」をどのように発見、ないし制御していくかを問われることになるであろう。
▼text by macaroni records ▼photo by John Harte
▼ZUINOSINにインタビューしちゃったヨ→こちら
▼ZUINOSINに2度目のインタビューしちゃったヨ→こちら
『蕊』
¥2,400(tax in)